2008/05/07

芸術作品の始まり


ギャラリー入り口 奥に森山大道の作品が

作業台の上の黒いTシャツ姿が川俣さん、今最初の木が設置されようとしている。

 タイトルは意味深なのですが、別にハイデガーの著作について語ろうという訳ではありません。こちらに来て、エコール・デ・ボザール=国立美術学校の教授を務めている川俣正さんとコンタクトがなかなかとれずにいました。川俣さんは国際的な現代美術作家で、東京芸大の先端表現学科教授を辞したあと、横浜トリエンナーレのディレクターも勤めたりもしました。そして、現在ではパリに居を構え、国際的に活躍しています。美々の皆さんの中にも、つい先日まで東京都現代美術館で開催された「通路」という展覧会をみた人が多いと思います。その「通路」の展覧会のオープニングの際に、挨拶したら火曜日と金曜日はボザールにいるとのことで、2回ほどアトリエを訪問したのですが、不在でした。メールで確認すればよいのですが、アドレスのメモを日本に置いてきてしまったので、しかたありませんでした。


 今日は、会期末が近い、日本の写真家森山大道さんの個展を見に、オデオン近くのギャラリーKamel Mennourに行ったところ、その入り口のところで作業している。川俣さんとばったり会いました。そのギャラリーでは、森山さんの次が川俣さんの個展だというのです。そして、今日が作業開始初日だというのです。つまり、これから芸術作品がはじまる日に立ち会ったというわけです。


 とはいえ、川俣さんの作品は、いつ完成するのか、それを確定するのが難しいことが多いです。絶えず作品は進化し続けるといったものもあり、画枠の中で作品が確定されているタブローのようには行きません。「通路」展は、川俣正という一人のアーティストだけで成立するのではなく、多くの人々を巻き込んで、彼の作品が成立することが明らかにされていました。おそらく、これからパリでも、川俣さんは様々な人々を巻き込みながら、作品を成立させることでしょう。

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