2008/05/29

ベッリーニ「カプレーティ家とモンテッキ家」@バスティーユ 




二階バルコン前のロビーには、終演後のディナーがセットされていました。

パリに帰ってきて、今シーズン注目のオペラ、ベッリーニ作曲「カプレーティ家とモンテッキ家」を、バスティーユのオペラ座で見ました。何が注目かというと、世界的なプリマドンナであるアンナ・ネトレプコがジュリエッタを歌うからです。ジュリエッタ つまり この曲は、ロミオとジュリエットの話なのですが、男性役のロメオは、女性歌手が男性を演じる「ズボン役」の歌手が歌い、今回はアメリカのメゾ・ソプラノ ジョイス・ディトナートが歌いました。演出は、ロバート・カーセンによるもので、いわゆる読み替えをせずに、13世紀のベローナが舞台となっています。指揮は、ベルカントオペラのスペシャリスト エヴェリーノ・ピドで、イタリアオペラらしさが十二分に出ていました。 配役は以下の通り
Direction musicale Evelino Pidò
Mise en scène Robert Carsen
Décors et costumes Michael Levine
Lumières Davy Cunningham
Chef des Choeurs Alessandro Di Stefano
Capellio Giovanni  Battista Parodi
Giulietta  Anna Netrebko
Romeo   Joyce DiDonato
Tebaldo  Matthew Polenzani
Lorenzo  Mikhail Petrenko
 このオペラは、ジュリエッタ(そしてズボン役のロメオ)以外は合唱も含めて全て男性が歌うというもので、全体的に重厚さがあるなかで、女性歌手が歌う二人の主役の歌唱が余計に際だちます。今回のジュリエッタは、その期待を裏切ることなく、有名なアリア「ああ、いくたびかあなたのために天に祈ったことか」などは、歌唱技巧を駆使してその心情を見事に表現していてすばらしかったです。また、ロメオも良かったのですが、フランスで聞くイタリアオペラという枠組みがどうしても残ってしまう。それは、メトロポリタン歌劇場で聞くイタリアオペラという枠組みと同じかもしれないが・・もし、このジュリエッタがデセイであっても、そのイタリア的な雰囲気は伝わることはないでしょう。結局、ピドのイタリア的な音づくりのなかで、一番しっくりしていたのは、テバルドのマシュー・ポレンツァーニというイタリア人歌手だったかもしれない。
 最後に演出ですが カーセンの演出は、きわめてオーソドックスで、見ていて退屈していたのですが、最後にロメオとジュリエッタが死んで、両家が再び剣を交えて終わりとなるもの、ジュリエッタの父親カッペリオがいくら嘆いたとしても、怨念は続くといった感じで、いかがなものかと思いました。

0 件のコメント: