2008/10/10

マンテーニャ展@ルーヴル美術館





秋の美術シーズン、パリではピカソ関係の展覧会が目白押しなのだが、それよりも注目していたマンテーニャの展覧会を見に行きました。この展覧会は、画家の修業時代から、マントヴァの黄金時代、そしてコレッジョらに与えた影響関係を示すもので、なかなか見応えのあるものでした。特に、ナポレオンが持ち去って、いまだフランスにあるヴェローナのサン・ゼノ教会の祭壇下部のプラデッラの三枚が、並べられているのは、圧巻でした。私は、ヴェローナのサン・ゼノには二度訪問したことがありますが、そこにはコピーが飾られています。美術館は略奪の歴史そのものであることを考えさせられますが、素直にこの三枚は驚異的な作品であるので、堪能することができました。
またウィーンの美術史美術館からは、小さい作品ながらとても美しい「聖セバスティアヌス」が出品されていましたが、この絵も思い出深い絵です。この絵は初期の作品で、後期のルーブルの作品と対比できるようになっていました。これはとても贅沢な話です。とはいえ、僕はヴェネチアのカ・ドーロの作品も含めて、この初期の美術史美術館の「聖セバスティアヌス」が一番好きです。というのも、宝石のような輝きを持っているとともに、セバスティアヌスの足がのっている立方体の石が正面むいておらず、斜めになっていること、また背後の市松模様の床も、単純な遠近法でなくて、ある種の歪みを感じさせるようなところが、昔から気になってしょうがないからです。もっともルーブルの右下の人物も不思議で気になってしょうがないのですが・・・
それと、今回の展覧会でとてもうれしかったことがあります。それは、マントヴァ関係ということで、レオナルド・ダ・ヴィンチの「イザベル・デステの肖像」が出品されていることでした。よくよく考えれば、この展示はあり得るのですが、何の前情報も得ずに、入場したので、この絵が目に飛び込んできたときには、サプライズと共に、もしかして命日が近い片桐さんからのプレゼントなのかもしれないと思ったぐらいです。まだ空いているので、ものすごく近くで観察して(もっとも監視員に注意されましたけど)、しっかり針穴も確認できましたし、本当に神秘的で美しい絵でした。

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