2009/01/14

ペレアスとメリザンド@テアター・アン・デア・ウィーン


ナタリー・デセィという歌手に惚れ込んで、追っかけみたいな事をすることがある。クリックしているうちにパリのチケットが手に入ってしまい、仕方なくパリまで行くことになったりした(どこが仕方なくだ)。今まで二回来日しているが、複数回行くようにしている。(さすがに福岡公演はあきらめたが)その歌手が、夫のローラン・ナウリとともに、ドビュッシーの「ペレアスとメリザンド」を歌うといので、今回のウィーン遠征をすることになった。日本では、なかなかこのオペラは上演されることがない。このオペラは、イタリアオペラのような歌歌歌といったものでなく、フランス語の語りのような旋律となっているので、日本人歌手にとっては難しいだろう。
2004年にパリオペラ座の上演を見たことがある。このときは、ゴローをベテランのホセ・ヴァン・ダム、メリザンドをミレイユ・ドランシュ、ペレアスをサイモン・キーリンサイド!、アルケル王はフェルッチョ・フルラネット!という超豪華メンバーだった。舞台はシンプルでロバート・ウィルソンによる演出は、効果的な色彩による象徴的なものだった。カンブルラン指揮のオペラ座管の音も僕にはただただ、美しいものに聞こえた。
今回は、そのような舞台の記憶とは、対照的なものとなったのかもしれない。デセイとゴールデンペアを組む、ローラン・ペリとシャンタル・トマによる演出+舞台+衣装なのだが、今回は何か空回りしているような気がした。というのは、デセイのコケティッシュな演技が、メリザンドの神秘性を阻害していくからだ。メリザンドがペレアスに愛の告白をするとき、かけだして飛びついて抱きつくシーンは、違和感を強くかんじることになる。
歌手は、ペレアスのステファヌ・ドゥグー、アルケル王のフィリップ・アンスも好演、ナウリのゴローは、僕は好きなのだが、一本調子に感じる人がいるかもしれない。狂気はあるけど深みがない。ビリー指揮のORF管は第二部は好演だった。

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